腎臓移植
腎臓病クリニック
日本の腎臓移植件数はアメリカの約1/10と数こそ少ないですが、腎移植の成績自体は移植大国のアメリカと遜色なく、腎臓移植は日本でも確立した医療です。
日本では移植手術もその後の外来フォローも通常は外科が行うのに対して、アメリカでは手術は外科、それ以外の術前評価や術後の外来フォローは内科というように、連携を取りながら「集学的医療」を行っています。
そこで、聖路加では移植周術期は外科(泌尿器科)が、それ以外は主に内科(腎臓内科)がマネージするアメリカ式の腎移植を開始しました。移植候補の選定から術前の検査、さらに術後の長期フォローに腎臓内科が関わることのメリットを生かして診療にあたっております。
腎臓病全般(保存期腎不全、血液透析、腹膜透析、腎臓移植)を単独施設で扱うことのできる病院は日本では珍しく、腎臓病の初期から末期腎不全までを広い視野で捉えた医療を提供します。
腎臓移植とは
なんらかの原因により、腎臓が正常な尿を作れなくなってしまった状態を腎不全といいます。
腎不全が進行し腎臓の機能がある基準値以下に低下すると、自分の腎臓だけでは生命を維持することが困難となります(この状態を末期腎不全といいます。)
末期腎不全まで状態が進行した場合、透析療法を受けるか腎移植が必要となります。
腎移植は、末期腎不全の患者に対して、正常な機能の腎臓を移植する治療方法です。腎移植には、家族や身内から腎臓の提供を受ける「生体腎移植」と、脳死や心臓死になられた方からの腎臓の提供を受ける「献腎移植」の2種類があります。
当院では、現在、生体腎移植のみを実施しています。
腎臓の提供を受ける人を「レシピエント」、腎臓を提供する人を「ドナー」と呼び、腎移植を行うまでに、どちらもいくつかの診察や検査を受けて頂きます。
腎移植のメリット・デメリット
腎不全に対する治療のメリットは以下の通りです。
年齢や体質、ライフスタイルに応じて腎移植を行うかどうかを決定します。
| 血液透析 | 腹膜透析 | 腎移植 | |
| 腎機能 | 悪いまま | かなり正常に近づく | |
| 毎日飲むお薬 | 腎不全の諸問題に対する薬剤 (貧血・骨代謝異常・高血圧など) |
免疫抑制剤 その副作用に対する薬剤 |
|
| 生存予後 | 移植に比べて悪い | すぐれている | |
| 心筋梗塞・心不全・脳梗塞 の発症率 |
多い | 透析に比べて少ない | |
| 生活の質 | 移植に比べて悪い | すぐれている | |
| 生活の制約 | 多い (週3回、1回4時間以上 の通院治療) |
やや多い (透析液交換・装置の セットアップなど) |
ほとんどない |
| 社会復帰率 | 低い | 高い | |
| 食事・水分摂取の制限 | 多い (蛋白・水・塩分・ カリウム・リン) |
やや多い (水・塩分・リン) |
ほとんどない |
| 手術の内容・麻酔 | 局所麻酔での手術 | 中規模手術 | 全身麻酔での大規模手術 |
| 通院回数 | 週3回 | 月1~2回 | 移植後1年以降は月1回 |
| 旅行や出張 | 旅行先でも透析を行う 必要がある |
透析装置・透析液 の持参が必要 |
自由に行える |
| スポーツ | 自由 | 腹圧がかからないように 気をつける |
移植部の保護が必要 |
| 妊娠・出産 | 困難 | 腎機能良好なら可能 | |
| 感染への注意 | 必要 | やや必要 | 重要 |
| 入浴 | 透析後はシャワーが望ましい | 腹膜カテーテルの保護が必要 | 問題ない |
レシピエント(腎臓の提供を受ける方)について
レシピエント候補になれる方
原則、末期腎不全の方は全員が移植の候補者と捉えることができます。
しかし、重症な心臓病や悪性腫瘍、感染症などがある場合は移植手術を受けられないことがあります。
必要な診察や検査を行ったうえで問題がないと判断された方が、レシピエントになることができます。
また、生体腎移植の場合は親族に適切なドナーがいなければなりません。
透析導入前の保存期腎不全の患者さんも移植を受けることができます(先行的腎移植。)
レシピエントに行う診察・検査
レシピエントの方の診察・検査はすべて外来で行います。
(通院困難である場合は、当院近くのホテルに優待価格でご宿泊頂けますので、ご相談ください。)
初回の診察
移植医師および移植看護師との面接を行います。
腎移植手術について情報を提供したうえで、ドナー候補を含めて一度検討していただきます。
ドナー候補が決定しましたら、検査が開始となります。
検査の内容
移植手術に耐えられ、移植後も健康な生活を送ることができるように各種の検査をしていきます。
いくつかの検査を複数回行うため、検査終了までにおよそ 3~6ヶ月の時間を要します。
主な検査項目は、採血・心電図・レントゲン・尿検査・胃内視鏡・心臓エコー・心臓CTなどです。
レシピエントにかかる費用
初回の検査に約5万円かかります。ただし、移植前検査費用はレシピエントの医療保険が適用され、更生医療などでほぼ全額助成されます。検査の結果により他の疾患が発見され、治療が必要になった場合、その治療費は自己負担となります。
腎移植の手術費用も全て更生医療が適用され、ほぼ全額助成されます。
(ただし、お住まいの自治体や収入等に応じて助成される内容が変わることがあります。詳しい助成の内容については、その都度ソーシャルワーカーよりご案内いたします。)
入院の流れについて
入院の流れは、手術を行う前日に入院し入院2日目に手術を実施します。手術後は、手術翌日には食事を開始、翌々日には歩行が可能となり、約1週間で退院となります。
退院後1ヶ月程度は比較的短い間隔で外来へ受診して頂きます。そして術後2~3ヶ月で社会復帰が可能となります。
手術(腎臓移植術)について
全身麻酔を使用した開腹手術を行います。通常の手術時間は4時間程度です。腎臓は本来背部にありますが、腎移植の際には腹部へ移植します。
ドナー(腎臓を提供される方)について
ドナーの候補になれる方
日本移植学会の倫理指針によりドナーの対象者は、患者さんから見て、6親等以内の血族と3親等以内の姻族ドナーの対象となっております。 心身ともに健康な成人であり、必要な診察や検査を行ったうえで問題がないと判断された方が、ドナーになることができます。一般的には外来通院や常用薬が必要な方は、ドナー候補にはなりません。
ドナー候補に行う診察・検査
ドナー候補の診察・検査はすべて外来で行います。
(通院困難である場合は、当院近くのホテルに優待価格でご宿泊頂けますのでご相談ください。)
初回の診察
移植医師の診察および移植看護師との面接を行います。腎移植手術について情報を提供したうえで一度検討していただきます。腎臓を提供する意思が確認できましたら、検査が開始となります。
検査
『腎臓提供後に腎臓が一つになっても健康に過ごす事ができるかどうか』について検査していきます。
いくつかの検査を、複数回行うため、検査終了までにおよそ3~6ヶ月の時間を要します。
主な検査項目は、採血・心電図・レントゲン・尿検査・胃内視鏡・腹部CT・腎臓核医学検査などです。
腎臓提供の意思確認に関しては、移植チームと直接関係のない精神科・心療内科で合わせて2回の診察を行います。
ドナーにかかる費用
初回の検査に約5万円かかります。移植前検査費用は、レシピエントの医療保険、更生医療が適用されほぼ全額助成されます。検査の結果により他の疾患が発見され、治療が必要になった場合、その治療費は自己負担となります。
腎移植の手術費用も全てレシピエントの更生医療が適用され、ほぼ全額助成されます。
ドナーの入院の流れについて
手術を行う前日から入院となり、入院2日目に手術を実施します。
手術後は、手術をした当日から食事を召し上がっていただくことができます。
さらに手術後1~2日で歩行が可能となり、経過が順調であれば手術後5日目程度で退院できます。
退院後は定期的な外来受診が必要となります。術後約1カ月で社会復帰が可能となります。
ドナーに行う手術(腎臓摘出手術)について
原則、腹腔鏡を使用して手術を行います。腹部に4~5か所の小さな穴をあけ、腹腔鏡を挿入して腎臓の摘出を行います。 開腹手術に比べ術後の痛みが少なく、回復が早く進みます。
費用・公的保険について
※自治体や収入によって助成を受ける資格、助成内容が異なることがあります。
腎移植の医療費
腎移植に関する医療費は健康保険の対象となっています。患者さんの支払いは原則、一定割合の自己負担分のみです。
その自己負担分も、以下の様な制度によって大幅に軽減されます。
-移植手術・入院-
特定疾病療養費制度(透析患者を対象とする)によって、移植手術費用の自己負担分が月1万円まで軽減されます。
また入院費用もこの特定疾病利用要費制度、身体障害者への医療費助成によってほとんどカバーされます。
-退院後の通院・免疫抑制剤の費用-
透析患者が腎移植を受けた後も、身体障害者1級の資格は継続されます。
身体障害者に対する更生医療、または重度身体障害者医療費助成制度の対象となり、自己負担分はかなり軽減され無料になる場合もあります。
予約方法・お問い合わせ
患者の皆様へ
腎移植を希望される方に対して、『腎移植外来』を開設しております。
『腎移植外来』の受診予約は、医療機関からの予約のみとさせていただいております。ご受診をご希望の場合は、受診されている医療機関の医師にご相談ください。
地域医療機関の先生方へ
現在『腎移植外来』の予約取得は、医療機関からのお問い合わせのみとさせて頂いております。
腎移植をご希望の方のご紹介・ご質問等がございましたら、医療連携相談室(03-5550-7105)までお問い合わせ下さい。
