聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

Quality Indicator(医療の質)


Quality Indicator 2011 医療の質を測り改善する

Quality Indicator 2011 医療の質を測り改善する

福井 次矢 監修 聖路加国際病院QI委員会

インターメディカ 2010年9月

QIの測定・公表を行う病院が急速に増加中!
その第一義的目的は、施設間の比較ではなく、
「各施設が診療の質を時系列で改善」すること。
聖路加国際病院でQIが改善した事例を振り返ってみると、7種類の介入方法が採用されていた。

聖路加国際病院がQIにこだわる理由

聖路加国際病院では2007年より他施設に先駆け、Quality Indicator(以下QI)の公表を行ってまいりました。QIとは、医療の質を評価する目安となる指標です。自分たちの提供している医療が本当に質の高いものであるかどうか、課題があればそれが改善されているかどうかなどを数値として示すことで、より質の高い(エビデンスに則した)医療の提供ができると考えています。


QIの測定・公開は医療者のパフォーマンス改善を目的に

QIを測定する目的は、「多施設を横断的に比較する」ことではなく、「各施設がそれぞれにおいて時系列で改善する」ことにあります。すでに諸外国では、国を挙げてのQIの測定、公開が行われています。


2010年は56のQIを測定、公開しました

2010年は以下の56指標の測定を行いました。聖路加国際病院は、この指標に基づき、業務改善、提供する医療の質の向上に努めております。



Quality Indicator 2011 [医療の質]を測り改善する-目次-

第1章 医療の質とEBM、Quality Indicator

第2章 聖路加国際病院におけるQI測定・公表の経緯・手順と「改善」

第3章 病院全体

  • 1.医業利益率
  • 2.職員の健診受診率
  • 3.職員の非喫煙率
  • 4.職員のインフルエンザワクチン予防接種率
  • 5.死亡退院患者率
  • 6.ソーシャルワーカーによる転院患者の割合
  • 7.病床利用率、平均在院日数
  • 8.退院後6週間以内の予定外再入院率

第4章 報告・記録

  • 9. 2週間以内の退院サマリー完成率、48時間以内の手術記録完成率
  • 10.放射線科医による読影レポート作成に24時間以上かかった件数の割合
  • 11.消化管生検検査の報告書が48時間以内に作成された割合

第5章 教育

  • 12.卒後臨床研修マッチング1位希望者の募集人数に対する割合
  • 13.剖検率
  • 14.研修医1人あたりの指導医数、研修医1人あたりの専門研修医数
  • 15.看護師の教育歴

第6章 患者満足

  • 16.意見箱投書中に占める感謝と苦情の割合
  • 17.患者満足度

第7章 看護

  • 18.入院患者の転倒・転落発生率、入院患者の転倒・転落による損傷発生率
  • 19.転倒・転落アセスメント実施率
  • 20.褥瘡発生率

第8章 薬剤

  • 21.ワーファリン®服用患者における出血傾向のモニタリング
  • 22.入院患者のうち服薬指導を受けた者の割合
  • 23.ステロイド服薬患者の骨粗鬆症予防率

第9章 手術・処置

  • 24.中心静脈カテーテル挿入術の重篤合併症発生率
  • 25.麻酔からの覚醒遅延率
  • 26.執刀開始1時間以内に予防的抗菌薬投与を開始した割合
  • 27.手術患者における静脈血栓塞栓症の予防行為実施率
  • 28.予防行為が行われなかった入院患者の静脈血栓塞栓症の発生率、予防可能であった可能性のある静脈血栓塞栓症の割合
  • 29.非心臓手術における術後24時間以内に予防的抗菌薬投与が停止された割合、心臓手術における術後48時間以内に予防的抗菌薬投与が停止された割合

第10章 生活習慣

  • 30.糖尿病患者におけるHbA1c検査実施率
  • 31.糖尿病患者の血糖コントロール(HbA1c)
  • 32.高血圧患者の来院時血圧測定率
  • 33.降圧薬服用患者の血圧コントロール
  • 34.LDLコレステロールのコントロール

第11章 呼吸器

  • 35.肺炎患者の死亡率
  • 36.肺炎患者におけるERでの抗菌薬投与前の血液培養実施率
  • 37.肺炎患者における来院後6時間以内の抗菌薬投与率

第12章 脳・神経

  • 38.急性期開頭術施行患者の死亡退院率
  • 39.入院となった脳血管障害患者における頭部CT検査施行までに要した時間
  • 40.虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作患者における抗血小板薬退院時処方率

第13章 心血管

  • 41.PCI後24時間以内の院内死亡率
  • 42.急性心筋梗塞の患者で病院到着からPCIまでの所要時間が90分以内の患者の割合
  • 43.急性心筋梗塞患者における退院時処方率
  • 44.PCI後24時間以内のCABG実施率
  • 45.開心術を受けた患者の平均術後在院日数、人工心肺手術を受けた患者の平均術後在院日

第14章 慢性腎臓病

  • 46.慢性腎臓病患者でのRAS阻害薬処方率
  • 47.維持透析患者の貧血コントロール
  • 48.維持血液透析の透析効率、維持腹膜透析の透析効率

第15章 消化器

  • 49.胆嚢摘出術中の腹腔鏡下手術の割合
  • 50.慢性C型肝炎患者における治療開始後12週時点でのHCV-RNA検査実施率

第16章 耳鼻咽喉・眼

  • 51.急性外耳炎患者における全身抗菌薬療法を施行しなかった割合
  • 52.小児での滲出性中耳炎患者における聴力検査実施率
  • 53.網膜剥離術後28日以内の予定外再入院率

第17章 救急

  • 54.救急車受入台数、救急車・ホットラインの応需率
  • 55.救急外来受診後入院となった患者のうち入院までに6時間以上を要した割合
  • 56.心肺停止患者の蘇生率(心拍再開入院率)

聖路加国際病院で行われた、QI指標を用いた医療の質改善事例

時系列でQIを測定しながら、医療の質を改善するために、診療内容や看護業務の見直しに取り組んでいます。2011年に改善がみられた、5つのQI指標についてご紹介いたします。

Case1:糖尿病患者の血糖コントロール(HbA1c)

●当院値の定義・計算方法 1)

【<6.5%】分子:HbA1c(NGSP)<6.5%:HbA1c(日本糖尿病学会)の最終値が6.1%未満の患者数  分母: 糖尿病の薬物治療を施行されている患者数(過去1年間に該当治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者)

【<7.0%】分子:HbA1c(NGSP)<7.0%:HbA1c(日本糖尿病学会)の最終値が6.6%未満の患者数  分母:糖尿病の薬物治療を施行されている患者数(過去1年間に該当治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者)


●参考値の定義・計算方法 2)
分子:Adults with diabetes who had hemoglobin A1c(HbA1c) level less than 7.0% at examination
分母:Adults age 40 and over with diabetes
<参考文献>
1)U.S. Department of Health and Human Services Agency for Healthcare Research and Quality:National Healthcare Quality & Disparities Report. http://nhqrnet.ahrq.gov/nhqrdr/jsp/nhqrdr.jsp#snhere#snhere(2011.05.06 available)
2)U.S. Department of Health and Human Services Agency for Healthcare Research and Quality:2010 National Healthcare Quality Report. http://www.ahrq.gov/qual/nhqr10/nhqr10.pdf( 2011.05.06 available)

HbA1cは、過去2~3か月間の血糖値のコントロール状態を示す指標で、正常値は5.8%以下とされています。糖尿病患者の血糖コントロールは、HbA1cが6.5%以下であれば「良好」とされ、7.0%以下であれば「可」とされます。種々の事情により厳格な血糖コントロールがよいとは限らない患者も多いことを考えると、当院の数値は、平均として大変良好な糖尿病診療内容であるといってよいと思われます。
しかし平均としては大変良好であっても、担当している医師によってコントロール率にかなりのばらつきがあることがわかり、とくに非糖尿病専門医のなかには低いコントロール率の医師もいることがわかりました。その原因として、非専門医の処方している抗糖尿病薬と専門医の処方している抗糖尿病薬にかなり違いがあることも判明しました。

2010年に、特にHbA1c値が改善している患者が増加した理由としては、以下のことが考えられます。
  • (1)メトホルミンの高用量投与の認可がおりたこと
  • (2)インクレチンの投与が可能となり、より低いHbA1cを目指しやすくなったこと
  • (3)糖尿病専攻研修医の外来担当が増えたこと

勉強会開催後、非専門医のコントロール率が劇的に改善

院内の非糖尿病専門医を対象に、内分泌・代謝科医師により、抗糖尿病薬の選択と使用法についての講演を何度も開催しました。その結果、勉強会の後で非専門医の処方内容に明らかな変化がみられ、コントロール率が劇的に改善しました。また院長から、医師一人ひとりに糖尿病コントロールの数値をフィードバックし、改善の余地があるようなら、努力してほしい旨を伝えました。
それぞれの患者に合った薬を正しく選択し、量を調整し、インスリン導入の時期を逸しないように専門医との連携を密にとることなどによって、厳密なコントロールが可能な患者はすべからく良好にコントロールし、合併症を予防するよう努力を続けていきたいと考えています。

Case2:中心静脈カテーテル挿入術の重篤合併症発生率

●当院値の定義・計算方法

分子:重篤な合併症(気胸、動脈穿刺)の発生件数

分母:処置記録テンプレート(CVC)の記載件数

<参考文献>

1)N Eng J Med 2003;348:1123-1133.

2)N Eng J Med 2007;356:e21.

 

中心静脈カテーテル挿入術(CVC)は、主に長期の栄養管理を必要とする患者、抗菌薬や循環作動薬などの複数の点滴を必要とする患者に必要とされる処置です。心臓近くの中心静脈にカテーテルという管を留置することで、重症な患者の全身管理に役立ちます。しかし不幸にも、カテーテル挿入時に気胸や動脈穿刺などの重篤な合併症が発生するケースも報告されています。中心静脈カテーテル挿入術の合併症頻度を低く保つことは、医療安全に対する取り組みの指標となります。
一般的に、中心静脈カテーテル挿入術によって起こる気胸や動脈穿刺の割合は、4%程度と報告されています。近年は、より安全で確実な処置のため、穿刺針の改良、安全な穿刺部位の検討、超音波の併用などの工夫が進み、以前に比べて合併症の頻度が低下したとの報告もあります。
当院では、2008年より処置記録テンプレートを導入し、院内で行う中心静脈カテーテル挿入術の全例を対象に、処置記録の徹底と合併症頻度のモニタリング、また、合併症低減の対策に取り組んできました。 2008年から2010年にかけて、気胸と動脈穿刺の合併症頻度は6.2%から0.5%へと著しく改善し、この値は従来報告されている値と比較しても、極めて良好な数値であるといえます。

ガイドライン作成、認定医制度導入、教育体制を強化

処置記録テンプレートの導入に伴い、合併症が起こる背景としていくつかの問題点が明らかとなりました。
具体的には、院内で統一したガイドラインの作成と認定医制度の導入、教育体制の強化(新たな手技としての超音波併用法の指導)、処置記録の解析と問題点のモニタリングを行うことで、合併症頻度の改善が得られたと考えられます。
今後も低い合併症発生率を維持していくため、継続的な取り組みを行います。

Case3:転倒・転落アセスメント実施率

●当院値の定義・計算方法

分子:転倒・転落アセスメント実施者数

分母:入院患者数

分子補足:転倒・転落アセスメント・対策(入院時)又は(1週間毎)のテンプレート有患者

分母除外:病棟3EW、6E、9E、GCU、NCU、CCU、ICU

・診療科 小児科、宿泊ドック ・退院当日入院した患者 ・病院施設外の産科クリニック

<参考文献>

1)Healey F, Scobie S, Glampson B,Pryce A, Joule N,Willmott M:Slips,trips and falls in hospital.London:NHS 2007;1.

入院患者の転倒・転落のリスクを的確にアセスメントして対策を立案・実行することが、転倒・転落の予防に効果的であり、推奨されています。アセスメント実施率を把握して、実施率を100%に近づけることが重要になります。 転倒・転落のアセスメント項目は、当院のデータに基づいて独自に設定しました。2007年8月から電子カルテ上のテンプレートでの運用を開始し、現在の項目は6項目です。
転倒・転落アセスメント実施率は、2010年に97.6%と調査開始以来最も高くなりました。毎月、アセスメント実施率を、ナースマネジャー会やインシデント検討会などを通じて各部署にフィードバックし、改善を呼びかけました。さらに各部署で、アセスメントが実施されなかった患者をリストアップして、その理由を検討しました。
その結果、ほぼ全入院患者について、入院時に転倒・転落アセスメントが実施されるようになりました。

「予防対策立案率」と「説明文書発行率」を継続して追跡

当院では、予防対策立案率も指標として追跡しています。アセスメントを行った患者のうち予防策を立案した患者の割合は、2009年度は99.7%、2010年度は99.6%でした。
また、転倒・転落予防策には、「ナースコールで看護師を呼ぶ」といった患者と家族の協力が必要な予防策もあるため、患者・家族への説明を行うことも必要です。当院では患者・家族に説明用文書を用いて説明を実施した率も指標として追跡しています。アセスメントを行った患者のうち文書を用いて説明を行った患者の割合は、2009年度の89.6%から2010年度の95.1%へと上昇しました。
転倒・転落予防のプロセスとして、今後もアセスメント実施率とともに予防対策立案率と患者・家族への説明文書発行率の追跡を継続していきます。

Case4:急性心筋梗塞の患者で病院到着からPCIまでの所要時間が90分以内の患者の割合

●当院値の定義・計算方法

分子:分母のうち、来院からPCIまでの所要時間(分)が90分以内の患者数

分母:救急部を受診し、24時間以内に緊急PCIを実施した急性心筋梗塞(ST上昇型)患者数


<参考文献>

1)Antman EM, et al.:ACC/AHA guidelines for the management of patients with ST-elevation myocardial infarction. Circulation 2004;110:82-292.
2)Flynn A et al.:Trends in door-to-balloon time and motality in patients with STEMI undergoing PPCI. Arch Intern Med 2010;170:1842-1849.

急性心筋梗塞(ST上昇型心筋梗塞;STEMI)の治療には、発症後可能な限り早期に再灌流療法(閉塞した冠動脈の血流を再開させる治療)を行うことが、生命予後の改善に有用です。

病院到着(door)からPCI(balloon)までの時間は、急性心筋梗塞と診断されてから、緊急心臓カテーテル検査と治療のためのスタッフならびにカテーテル室の準備、さらにPCIの手技までを含む複合的な時間であり、door-to-balloon時間と呼ばれます。具体的にはdoor-to-balloon時間が90分以内であること、あるいは90分以内に再灌流療法が施行された患者の割合が50%以上という指標が用いられます。
2010年は、PCI実施まで90分以内の患者の割合をさらに75.6%まで増加させることができました。これは、QIを取り入れてから力を入れてきたER医師と循環器内科医師の定期カンファレンスにて、診断の難しかった患者や時間のかかった患者を毎月検討することにより、ERをローテーションするレジデントを含め、常にdoor-toballoon時間を意識して診断とその後の治療にあたる環境がつくられているためと考えられます。
STEMI治療はその日のその時間に勤務するERの医師や看護師、また心臓カテーテル治療を担当する医師や看護師というチームで行われますが、当院のような研修病院では数か月で入れ替わってしまう場合もあります。したがって、いつでもどのチームであっても均一な医療の質を維持するよう、door-to-balloon時間を意識するためのコミュニケーションが不可欠です。

医師の勤務体制も変更、検討会を実施

PCIを担当する医師の勤務体制をオンコール体制から24時間当直体制とし、看護体制も整えました。設備やマンパワーは全体を規定する大きな因子であり、これらの変更がどこまで個々のdoor-to-balloon時間短縮に寄与するか、検討しています。
Door-to-balloon時間が長くなる患者には、ショック、心肺停止蘇生後などの重症例、予後不良例が多く含まれており、STEMI治療の重要な問題となっています。今後は、標準化されたSTEMI治療を継続するための絶え間ない教育と同時に、重症例に対する循環補助や低体温療法へのアクセスの時間短縮も課題です。これまでのERとのカンファレンスに加えて、看護師、臨床工学技士を含めた検討会を実施していきます。

Case5:病床利用率・平均在院日数

●当院値の定義・計算方法

【平均在院日数】

分子:年間在院患者延べ数

分母:(年間新入院患者数+年間退院患者数)/2

分子補足:新入院・退院患者とは、その対象期間中に、新たに入・退院した患者をいい、入院したその日に退院あるいは死亡した患者も含む

●参考値の定義・計算方法 5)

【平均在院日数】

分子:年間在院患者延べ数

分母:(年間新入院患者数+年間退院患者数)/2

●当院値の定義・計算方法

【病床利用率】

分子:月間在院患者延べ数の1月~12月の合計

分母:(月間日数×月末病床数)の1月~12月の合計

分子補足:在院患者とは、毎日24時現在病院に在院中の患者をいい、入院した日に退院あるいは死亡した患者は含まない

●参考値の定義・計算方法 5)

【病床利用率】

分子:月間在院患者延べ数の1月~12月の合計 分母:(月間日数×月末病床数)の1月~12月の合計

 

<参考文献>

1)上原鳴夫, 黒田幸清他:医療の質マネジメントシステム, 日本規格協会, 2003.
2)井部俊子, 中西睦子監修:看護管理学習テキスト第2版 看護経営・経済論, 日本看護協会出版会, 2011.
3)看護データバンク, EBNURSING増刊1号, 中山書店, 2010.
4)厚生の指標 増刊, 国民衛生の動向2010/2011, 財団法人 厚生統計協会, 2010.
5)平成22年病院運営実態分析調査の概要:全国公私病院連盟 社団法人日本病院会(平成23年3月29日)

http://www005.upp.so-net.ne.jp/byo-ren/H22-gaiyou.doc(2011.04.21 available)


病院にはヒト、モノ、カネが投資されていてそれらがどの程度効率的に活用されているのかを知る必要があります1)。
保健医療機関の施設基準の1つである「一般病棟入院基本料」の枠組みにおいて、7:1や10:1という看護師配置数のほかに、平均在院日数も一般病棟における医療の質を保証する指標となっています2)。
また、平均在院日数は、2003年から急性期病院において導入されている診療報酬「DPC」を活用することによって、患者に効率的な医療がいかに提供され、患者の早期社会復帰を促進しているかを表す指標になります3)。
さらには、病床利用率と平均在院日数は、当該医療機関における経営の質を示す指標としても活用されています。
当院の2010年度の病床利用率は78.8%で、2009年度比で、1.1ポイント減となりました。病床利用率が減少した理由として、以下の要因が考えられます。
  • (1)5月の大型連休と9・10月の連休および年末年始の患者数の落ち込みが2009年度よりも大きく、その回復も緩やかであったこと
  • (2)病棟の工事に伴う病床利用制限期間があったこと
  • (3)救急車搬送による救急入院患者が、2009年度より減少したこと

当院の病床利用率は、参考値の78.9%とほぼ同値の結果となりました。 一方、平均在院日数を見ると、参考値の14.0日に対して、当院は9.4日と、5日弱短い値です。これは、患者の入退院、転入・転出などの移動に伴う回転率の高さを裏付けるものです。 さらに、当院の病床利用率を、2010年8月に発表された厚生の指標の中の日本全体の病院の数値と比較してみます。日本の全病床における平均病床利用率は81.7%(2008年度統計)で、病床の種類別では一般病床の利用率は75.9%(前年度より0.7%減)となっており4)、当院の病床利用率は全国の一般病床の平均値よりも2.9ポイント上回っていることになります。

病床をさらに効率的に活用していくためには?

さらに病床利用率をアップするために、以下の方策が考えられます。
  • (1)救急車の応需率を高め、救急入院患者を増やす。
  • (2)引き続き、看護部の病床管理統括マネジャー・副統括マネジャーが、現場の動きをモニターしながら、病床を柔軟に利用する。
  • (3)引き続き、院長をはじめとして、病床管理に関連する部門・部署のメンバーが毎日集まり、全体状況を把握して、病床を有効利用できるよう話し合う。

QI指標の詳細・測定結果は『Quality Indicator 2011 医療の質を測り改善する』として
出版しています。

Quality Indicator 2011 医療の質を測り改善する

Quality Indicator 2011 医療の質を測り改善する

福井 次矢 監修 聖路加国際病院QI委員会

インターメディカ 2010年9月

QIの測定・公表を行う病院が急速に増加中!
その第一義的目的は、施設間の比較ではなく、
「各施設が診療の質を時系列で改善」すること。
聖路加国際病院でQIが改善した事例を振り返ってみると、7種類の介入方法が採用されていた。